山尾三省詩集
サイズ 四六版上製
ページ数 376
出版社 野草社
<本書より>
ひとりの男が
まことの歌を胸に探り
この世の究極の山へ登り入った
山は深く
雨さえも降り
実は
淋しい登山であった
同伴者がいなくはなかったが
真の同伴者は
己一人
まことの歌をうたうものでしかなかった
それがまことの歌なのか
まことらしき歌なのか
明確でないところに この登山の困難があった
ひとりの男が
まことの歌を胸に探り
この世の究極の山へ登り入った
山は暗く
雨さえも降り
実は淋しい登山であった
あたかも
まことの確証はその淋しさの中にこそ在り
樹に花咲く時は
虚なことであるかのようであった
※こちらの価格には消費税が含まれています。
※送料は別途発生いたします。詳細はこちら